水平梁ではなく登り梁を採用することで、開放感のある空間に。ゆとりのある天井にNさんご夫妻お気に入りのペンダントライトが浮かんでいる。夏は大きく出した軒が陽射しを適度に遮り、冬はハイサイドライトから日射を取り込む
憧れの田舎暮らしを
内外で満喫する平屋
自然に囲まれた田舎での暮らしに憧れて、旭川市から和寒町に移り住んだNさんご夫妻。新居のある約320坪の広大な敷地には自作の薪小屋が立ち、「木々に囲まれた庭にしたい」というご夫妻の希望を託したシラカバの苗木がすくすくと成長中です。
暮らしの中心となるのは、2年前に完成した片流れ屋根の平屋。Nさんご夫妻の理想が詰まったこの住まいを手がけたのは「知人が建てた家に一目ぼれし、最初から心に決めていた」と、二人が信頼を寄せる北海道ハウジングです。
友人を招くことを想定した新居は、玄関ホールを起点にパブリックゾーンとプライベートゾーンを東西に振り分けたプラン。大きくボリュームを割いた東側のLDKは、勾配天井の吹き抜けや土間を介して広い庭と接続する開放的な大空間です。使い勝手の良さを重視した奥さんの希望を叶え、キッチンから洗面スペース、ユーティリティ、ウォークインクローゼット、寝室をつなぐ回遊動線を実現し、日常の動作をアシスト。
水まわりを含むすべての床に採用したナラの無垢材や、LDKと寝室に採用した塗り壁などの自然素材が心地よさを向上させ、主暖房として導入した薪ストーブと、夏もエアコンいらずの高い断熱・気密性能が、より一層快適な暮らしを実現してくれます。
「外を眺めながらリビングでくつろいだり、天気のいい日は庭で食事を楽しんだりしています」とご夫妻。家庭菜園づくりや冬に向けての薪支度に精を出し、退屈知らずの毎日を満喫中です。
DATA
■建築データ
構造規模 木造(新在来工法)・平屋建て
延床面積 112.62㎡(約34坪)
<主な外部仕上げ> 屋根/ファイバーグラスシングル、外壁/道南スギ板張、建具/玄関ドア:鋼製断熱ドア、窓:樹脂サッシ(トリプルガラス)
<主な内部仕上げ> 床/ナラ無垢フローリング、壁/クロス・塗壁(ケンコート)、天井/クロス・合板張
<断熱仕様 充填断熱+付加断熱> 基礎/ポリスチレンフォーム(B3)100㎜、壁/高性能グラスウール16㎏210㎜、屋根/吹込ロックウール400㎜
□暖房方式 セントラルヒーティング(床下放熱器)・薪ストーブ
■工事期間
令和2年11月~令和3年5月(約7ヵ月)
玄関土間はそのまま薪ストーブが置かれたLDKへとつながる。ルーバーで緩やかに仕切られた先にシューズクロークを配置
キッチンは腰の負担を考えてワークトップを高めに設定。キッチンの前面収納は小物や日常用品など、雑多な物を受け止めてくれるので、すっきりとしたLDKを実現できる
直線で結んだ洗面スペースとダイニング・キッチン。手前を右に折れると玄関ホールにつながっている
ウォークインクローゼットと最短距離で結ばれる浴室前のユーティリティ。乾いた洗濯物はそのままクローゼットへの収納が可能。クローゼットを抜けた先には寝室がある
Nさん宅は東西にそれぞれトイレを設置。西側のトイレは、森をイメージした深い緑を採用
塗り壁はLDKと寝室に採用。寝室はシラカバをイメージした仕上げとし、間接照明が豊かな表情を見せてくれる
プライベートゾーンに配置した個室。暮らしの変化に応じて、間仕切りを設けることも想定している
西側のプライベートゾーン。間仕切り壁が視界を遮りプライバシーを確保する
薪ストーブの導入は「ブラックアウトの経験から、電気が止まっても冬の暖房を確保できるようにしたい」という奥さんたっての希望。機種はシンプルなフォルムに惹かれて「アイアンドッグ Nº07」をセレクト。太谷石の炉壁は周囲になじみながらも程よくアクセントになっている。ストーブ横に設けた出入り口を介して薪の持ち運びを行う
深い軒下に設けたデッキにはスロープを採用。「将来、車椅子やシルバーカーでも出入りできるようにしました」とNさんご夫妻
「印象的な外観にしたくて軒の出を上げてもらいました」というNさん。勾配の角度も外観の美しさや内部の広がりを考慮しながら、北海道ハウジングとともに相談を重ねたと語る
広い庭は少しずつ手を加えながら理想の景色づくりを楽しんでいる。自作のサウナ室の設置も計画中だそう